心臓の働きや全身の血管の評価、血液の流れを診療する科目です。
主な診療項目は以下の疾患です。
生活習慣病は、誰にも起こりうる年齢や生活習慣から生じる病気です。
高血圧症・脂質異常症・糖尿病・高尿酸血症などの生活習慣病に対して、循環器専門医からの視点で治療するとともに、その合併症についても注意を払い、検査を行いながら診療していきます。
循環器に受診する多くの方が治療を受け、通院している疾患です、薬を飲んでいれば良いというわけではなく、高血圧による全身への影響と動脈硬化の状況をしっかり評価しながら経過を見ることがとても大事です。
特に、65歳以上の高齢者・男性・喫煙歴のある方・ほかの生活習慣病をお持ちの方・肥満症の方などは、高血圧症による臓器障害を起こすリスクが高いため注意が必要です。
高血圧症は非常に身近で、罹患率も高い病気です。自覚症状も少なく安易に考えがちですが、脳・心臓・血管のいずれにも大きな影響を引き起こす疾患であり、しっかりとした治療と管理が重要です。
脂質異常症も皆様が検診で指摘されることの多い疾患です。
血液中の悪玉コレステロ―ルの上昇や、善玉コレステロールの低下、中性脂肪が増加している状態のことを言います。
放置してしまうと、増えた脂質が血管の内側に蓄積することにより動脈硬化が進み、心筋梗塞・脳梗塞・血管病を引き起こす原因となっていきます。
心臓病と脳卒中は、日本人の死亡原因の上位に位置する疾患です。その原因の多くが動脈硬化であり、この動脈硬化の進展予防と定期的な検査による早期発見は非常に重要です。
動脈硬化は年齢とともに進行しますが、様々な危険因子によって進行がさらに早くなるため、危険因子をできるだけ避けて進行のスピードを遅らせることが重要です。高血圧とともに脂質異常症の治療をすることで、心臓病と脳卒中の前兆である動脈硬化を予防することができます。自覚症状がなくても、このような点を念頭に置きながら、早めに対策を立て治療を始めることで健康を維持していきましょう。
糖尿病は患者数が増え続けており、症状が悪くなると神経障害・網膜症・腎症をはじめとした様々な合併症が現れます。
当院では、患者様の糖尿病の状態に合わせた治療法を検討し、患者様と一緒に考えながら、ライフスタイルに合わせたきめ細かい治療をご提案させていただきます。
院内検査では血糖値、ヘモグロビンA1c(グリコヘモグロビン)測定器を設置しており、当日に検査結果をご説明し、治療方針を決定しています。また、外来でのインスリン導入や血糖自己測定の指導も行います。
糖尿病に伴う合併症の評価も行います。糖尿病の初期においては、健康診断などで「尿に糖がでている、血糖値がやや高い」と指摘はされることがあっても、そのころはまだ自覚症状のない方がほとんどです。
この状態を数年放置すると持続的な高血糖によって全身の血管が障害され、合併症による症状が出現することがありますので、注意が必要です。定期的な検査と生活習慣の見直し、お薬による治療など、患者さんご自身と一緒に考えながら、実行可能で継続できる治療を進めていきたいと思います。
何より糖尿病のコントロールを改善することが、怖い合併症を出さないために重要です。
尿酸は栄養価の高い食事や飲酒などで増える物質です。この尿酸が高い状態が続くと関節炎をきたします。よく知られているのが足の親指のつけ根が痛くなる症状で、これが風が吹いても痛いということで「痛風」と呼ばれています。症状が進行すると腎機能が悪化して腎不全となり、透析が必要になることもあります。
高尿酸血症は他の生活習慣病を合併することも少なくありません。高血圧症・高脂血症・糖尿病・肥満症と合併し、動脈硬化の誘因となります。その結果として、様々な心臓病や血管病を引き起こすことがありますので、しっかりと注意をしながら治療を行うことが重要です。
虚血性心疾患とは心臓の筋肉への血流が悪くなったため生じた、心臓病の総称です。一般的に知られている“狭心症”や“心筋梗塞”が含まれます。原因として、心臓を栄養するための血液を流している冠動脈が、動脈硬化の進行で狭くなることで発症します。
狭心症は、胸の痛みや締め付けるような圧迫感を伴う病気です。安静にすることで鼓動が落ち着き、発作は治まります。発作が一時的であるためそのままにしてしまう方が多いですが、心筋梗塞の前触れの可能性もありますので早期の治療が必要です。
心筋梗塞は、狭心症よりも虚血の程度が重く、冠動脈が完全に詰まった状態になることで心臓の筋肉の一部が壊死してしまう病気です。胸に非常に強い痛み、圧迫感を感じます。緊急性が高く、すぐに救急治療を受ける必要があります。
原因はいずれも生活習慣病に伴う動脈硬化やストレス、加齢、家族歴などと言われています。
心臓は電気的な刺激によって規則正しく収縮・拡張を繰り返しています。不整脈とは心臓の電気的なトラブルによって、心拍数や心臓の鼓動のリズムが一定でなくなる状態です。心臓突然死の7割を占め、生活習慣病などの基礎疾患がない健康な人にも起きる可能性があります。
原因は、冠動脈疾患、心臓弁障害、心不全、先天性心疾患等の心臓に起因する疾患が挙げられます。その他、加齢やストレス、睡眠不足、疲労や自律神経の興奮によっても起こります。
不整脈は強い自覚症状がないことが多く気付かない場合が多くありますが、頻脈になると動悸や息切れが感じられます。徐脈になると、めまいを感じたり、意識が無くなったりします。期外収縮では、脈が飛んだり、胸部周辺に不快感を感じたり、痛くなったりします。
ベッド上で横になり手足と胸に電極を貼り付け12箇所の心電図を記録します。
クリニックで一時的に心電図検査をしても心臓の異常を正確に見つけられないことがあります。そのため患者様に携帯用の心電図計を身に着けていただき、日常生活に合わせて24時間連続の心電図を記録します。
不整脈の原因を知るためには心臓の状態を確認する検査も必要です。心エコー検査は超音波を当てることにより、心臓の収縮・拡張をする力、弁の動きと逆流の有無、筋肉の厚さや動き、心臓の部屋(心房と心室)の大きさなどを検査します。心臓の弁や心筋の状態を評価し、心臓自体の病気を診断することにより、不整脈とのかかわりについて検討します。
心臓弁膜症とは、心臓弁の機能が正常に働かないことによって生じる疾患です。左心室と右心室には入口(流入路)と出口(流出路)にそれぞれ逆流を防止するための心臓弁があります。
心臓弁が動脈硬化や弁の変性などによって開きづらくなり血液が通過しづらくなる状態を「狭窄」、また閉まりづらくなることで血液が逆流する状態を「逆流(閉鎖不全)」と言います。これらの心臓弁に狭窄や閉鎖不全などが生じる疾患が心臓弁膜症です。
初期の段階では、日常生活で症状を自覚することはありませんが、階段を上ったり運動をしたりするといつもより疲れやすいことに気が付きます。やがて進行すると、軽作業であっても息切れ症状や呼吸苦が出現するようになります。また不整脈をきたし、めまいやふらつき、全身の倦怠感、労作時息切れ、失神などの症状が生じることもあります。
特に、大動脈弁狭窄症を有する場合はこの症状が出現する場合があり、そのまま放置すると突然死をきたすことがあります。
心臓弁膜症は、病状の進行に伴って心臓のポンプ機能が弱っていく疾患であり、重症化すると心不全を引き起こしますので、適切に管理と治療をすることが重要です。
心臓は血液を全身に送り出すポンプの役割を担っています。その為、機能が低下すると全身に送り出す血液量が少なくなり、必要な血液循環を確保できなくなります。これによって起こる症状のことを「心不全」と言います。
原因は様々あり、上記で説明してきたほぼ全ての心臓の病気が最終的に心不全をきたします。
心不全の症状は様々で、一見、心不全の症状とは分かりにくいものもあります。
心不全は様々な疾患が原因で起こるので、その原因を調べることはとても重要です。その中でも重要な検査が心電図や心臓超音波検査です。
狭心症や心筋梗塞の所見の有無、心肥大の有無、不整脈や心臓の電気の流れの状態を評価することにより、心不全の原因を探ります。
心エコー検査は超音波を当てることにより、心臓の収縮・拡張をする力、弁の動きと逆流の有無、筋肉の厚さや動き、心臓の部屋(心房と心室)の大きさや負荷のかかり方などを検査します。心臓の弁や心筋の状態、心臓の動きのバランスなどを評価し、心臓自体の病気を診断し、心不全の原因について検討します。
心臓と肺を撮影します。これにより心臓が拡大しているかどうか、肺のうっ血があるかどうか、息切れの原因として肺疾患がないかどうか、等の判定を行います。継続的に撮影することで、前回との比較評価をすることがとても重要です。
心不全に影響のある、貧血や肝臓・腎臓の機能障害の確認を行います。また全身の状態についても確認します。心不全に影響するホルモンを測定することも可能です。心不全の状況と管理についてはBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)というホルモンを測定し、重症度判定の参考にします。
クリニックで一時的に心電図検査をしても心臓の異常を正確に見つけられないことがあります。そのため患者様に携帯用の心電図計を身に着けていただき、日常生活に合わせて24時間連続の心電図を記録します。一日の脈拍数を確認するほか、危険な不整脈の有無や、心臓の虚血の評価を行います。
睡眠中に10秒以上続く無呼吸が、ひと晩の睡眠している間(7時間)に30回以上、もしくは、睡眠1時間あたり平均5回以上無呼吸が認められる状態を睡眠時無呼吸症候群といいます。
最もよくみられる症状はいびきですが、いびきをかく人のうち、睡眠時無呼吸症候群を有する人の割合はわずかです。閉塞性睡眠時無呼吸症候群の方は、夜間に荒い鼻息や大きないびきを繰り返し、日中には眠気を生じ、居眠りをしたりします。一人暮らしの人は、日中の眠気が気づきやすい症状だと思います。
睡眠時無呼吸症候群をきちんと治療しないで放っておくと、日中の強い眠気に襲われ、生活の質が低下するほか、交通事故の危険性が増したり、仕事に支障が出たりします。また血液中の酸素レベルの低下から心臓への負担が強くなり、不整脈や高血圧の原因となることもあります。
高度の睡眠時無呼吸症候群は、脳卒中、心臓発作、心房細動、などから若年死のリスクが高まりますので、しっかり検査し治療を行うことが重要です。
専用機器を貸し出します。ご自宅で、睡眠時に口と鼻に呼吸センサーを、指に血液中酸素飽和度を調べるセンサーを取り付けて、通常通りに一晩寝ていただくだけで検査が可能です。簡単に装着でき、痛みも伴いません。
後日専用機器を当院までお持ちいただき、睡眠時に得られた呼吸のデータを当院で解析いたします。時間当たりに10秒以上の無呼吸・低呼吸が何回生じるか、また同時に血中酸素濃度の低下が起こっているかどうかを調べ、睡眠時無呼吸症候群の診断および症状の程度を測定します。
さらに精密な検査が必要な場合には、専門医療機関をご紹介いたします。
顔や鼻に装着したマスクからやや高い圧力を加えて空気を送り込むことによって、息を吸い込むときにのどが開き、気道がふさがってしまうのを防ぐ治療法です。最初はマスクの装着による違和感や、慣れない息苦しさなどを感じる場合もありますが、徐々に慣れてくることが多いです。
ほとんどの方が、この治療を行ったその日からいびきをかかなくなり、朝もすっきりと目覚め、昼間の眠気も軽くなります。 睡眠時無呼吸症候群の最も有効な治療法として、欧米や日本で広く普及しています。
就寝中の顎の位置を少し変えるだけで改善が見込めるような軽症レベルの方が適応になります。また、無呼吸の症状はみられないが大きないびきでお悩みのいびき症の場合にも有効な治療法です。就寝時に、気道を広く確保するよう下顎を上顎よりも前に出るように固定するマウスピースをつけて症状を和らげます。専用のマウスピースですので、作製する際には専門の歯科医をご紹介いたします。
肥満やお酒も、睡眠時無呼吸を引き起こす大きな要因と言われています。大きないびきをかく人や睡眠中によく息が詰まる人は、飲酒を控え、睡眠補助薬や鎮痛作用のある抗ヒスタミン薬などの眠気を誘う薬剤を避けるべきです。寝る姿勢を横向きに変えたり、ベッドの頭側を高くして寝たりすることもいびきを減らせる効果があります。
このように生活習慣を見直すこともあわせて治療していくことが望ましいと思います。
扁桃肥大など、気道のふさがってしまう場所が明らかな比較的軽症の睡眠時無呼吸症候群の方は、手術により閉塞部を切除し症状の改善が可能になる場合があります。このような手術が必要と判断した場合には、専門医療機関をご紹介いたします。